2010年 02月 26日
■大阪芸大PT フィルム復元 阪東妻三郎、市川右太衛門、大河内傳次郎…。日本映画史を彩る時代劇スターらの戦前の劇場映画フィルムを短く編集して市販されていた「玩具映画」。大阪芸術大学(大阪府河南町)のプロジェクトチーム(PT)が、個人宅などに眠ったまま傷んでいた玩具映画を掘り起こし、復元や修復に取り組んでいる。戦前の映画フィルムは大半が廃棄されたが、玩具映画には数々の名作の見せ場も残り、近現代の庶民文化の語り部として文化財価値は高い。 玩具映画は、劇場公開が終了した作品のフィルム(35ミリ)の名場面を切り取り、20秒から数分程度に編集。大正後期から昭和初期に、手回しの小型映写機を使って家庭の壁やふすまなどに映し、楽しんでもらう目的で作られた。当時全盛だったチャンバラやアニメなどが特に人気を集めた。 PTを率いる太田米男教授(60)=日本映画史=によると、戦前の無声映画のフィルムは興行的な価値が失われたうえ、可燃性で危険として、映画会社などにより大半が破棄されたり、焼失したりした。東京国立近代美術館フィルムセンターの調査では現存率はわずか5%前後で、作品名は知られていても実際に残っていないケースが多い。 そこで太田教授が目をつけたのが、市販されて個人の手に渡った玩具映画。平成15年にPTを立ち上げて以降、コレクターや骨董(こっとう)市などを探し回った。だが、ほとんどのフィルムは劣化で映写機にかけられる状態ではなかったという。PTは、国内随一のフィルム修復技術を持つ「IMAGICAウェスト」(大阪市)と協力し、これまでに700本以上を復元、修復してきた。 戦前のフィルムは特に、一部が溶けるなど劣化が進み、近年は「いま残さなければ」との機運が高まっているという。 PTはこの1年半だけでも、日本最初の映画スターといわれる尾上松之助主演の「荒木又右衛門」(大正14年)、伝説の天才映画監督、山中貞雄の「鼠小僧次郎吉 道中の巻」(昭和8年)、昨秋には月形龍之介主演の「荒木又右衛門」(昭和5年)など“幻の作品”をよみがえらせた。 このほか、戦犯追及を逃れるために廃棄されたはずの戦時中の国策映画や、大正2年の京都・祇園祭などの貴重な記録映像の復元も手がけている。 太田教授は「戦前の映像の断片からは、黄金期を迎えていた日本映画の勢いがみなぎり、時代性が伝わってくる」と、文化財としての保存の重要性を強調。傷みが激しくても最新技術によって復元できるといい、「後世に伝えるため、玩具映画を持っている人はぜひ連絡を」と呼びかけている。連絡は大阪芸大(TEL0721・93・3781)内の映像学科研究室へ。 【関連記事】 ・ よみがえる月形龍之介 戦前の無声映画「荒木又右衛門」発見 ・ 市川雷蔵の魅力いまなお 没後40年映画祭が好評 ・ 【サブカルちゃんねる】「TAJOMARU」 大人を感じる時代劇 ・ 10倍速でカメラ移動 新感覚の時代劇 「ジロチョー 清水の次郎長維新伝」 ・ 役所広司「忠臣蔵」は“大人の時代劇” ハリウッドが作る! ・ 幕末の京を再現「都をどり」 あでやか衣装合わせ 京都(産経新聞) ・ 警察官夫婦、通勤中にお手柄=盗撮容疑で会社員男逮捕−警視庁(時事通信) ・ <ガス田開発>中国強行なら提訴…政府、新対処方針伝える(毎日新聞) ・ 埼玉男性殺害で地検、女を起訴=練炭自殺を偽装−千葉不審死も本格捜査へ(時事通信) ・ <直木賞>選考委員、五木寛之さんが辞意(毎日新聞)
by l95nebxwhu
| 2010-02-26 16:03
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